皆さんこんにちは、農オタスタッフです。
私の社歴10年越え記念企画、技術コラムの2回目です。
初回では鋳造方法の違いと製品に与える影響を比較しました。
10年もいれば実際に設計や製造をしていなくても
なんとなくわかるようになっているものですね。
ただ改めて調べてみると
「確かに!」
「そんなところにも影響がでるのねー」
という新しい気づきもありました。
まだ読んでいない方はこちら
【コラム1】鋳造方法の種類と特徴を徹底比較|重力鋳造・低圧鋳造・ダイカストの違いとは?
さて、今回は鋳造方法の選定方法についてまとめてみました。
前回のコラムで
重力鋳造、低圧鋳造、ダイカスト
この3種類の鋳造方法の違いについてまとめました。
では実際に鋳造品を作る際に何を基準に
鋳造方法を決めていけばいいのかという視点で書いてみようと思います。
ただ、調べてみると湯の材質によって違いがあるようなので
今回は「アルミの鋳造品を作る」ことを前提にしたいと思います。
1. 製品の大きさ・形状
- 大物や肉厚部品 → 重力鋳造
自然流下でしっかり充填でき、鋳造構造がシンプルなため
乱流やガスの巻き込みが少ないです。
大型部品に向いています。
-
薄肉や複雑形状 → 低圧鋳造 or ダイカスト
エアー圧で湯を押し込むため、細かい部分まで湯が行き渡ります。
2. 強度と信頼性
-
高強度が必要な部品 → 重力鋳造・低圧鋳造
湯の流れが安定しており、気泡や鋳巣が少ないため、強度を確保できます。 -
外観や寸法精度が優先 → ダイカスト
表面が美しく、寸法精度も高いですが、内部欠陥が発生しやすく、構造部品には不向きです。
3. 生産数量(最小ロット数)
-
少量→ 重力鋳造
金型コストが安く、小ロットでも対応可能。 -
中量 → 低圧鋳造
品質とコストのバランスが良い。 -
大量 → ダイカスト
金型が高価なため、大量に生産することでコストを回収します。
生産数が少ない場合は型費が安い重力鋳造が向いているというわけですね。
ただ、生産量が少ないと言っても数千は欲しいところです。
それより少ない場合は砂型鋳造や部品加工や金属プリンタ等を
ご検討いただく方がコスト的にいい場合もあります。
最大ロットは何を作るかにもよりますが、
どの金型でも数万ショットは可能なようです。
実際に当社の重力鋳造金型でのショット数は
形状デザインの精度を守るため数万、
自動車部品用のダイカスト金型を作られている会社さんは
15~20万ショットが一般的とおっしゃっていました。
◆事例:自動車のホイール
アルミホイールはデザインが複雑で薄肉。安全性のため強度も必要です。
このため「低圧鋳造」や「重力鋳造」が選ばれるのが一般的です。
◆事例:家電製品の筐体
大量生産されるため「ダイカスト」で製造。
外観がきれいに仕上がり、寸法のばらつきも抑えられます。
ざっと駆け足で紹介しましたが、鋳造方法の選定は実はそんなに簡単ではありません。
先日もコストを抑えたいとのことで低圧鋳造で製品を作りたいと
ご相談がありましたが、製品形状を見せていただいたところ
薄肉すぎたためダイカストでの成形を提案いたしました。
ここまで書いていて何とももどかしい!
薄肉って具体的に何ミリ?
少量、中量、大量ってどのくらい?
と思いませんか?(私は思っています…)
業界はもちろん、形状や生産にかけられる期間、外観や精度、
コストなどを総合的にみて判断するため
書きたくても書けないというのが本音です。
なのでまずはざっくりと参考としていただけたらと思います。
今回、この記事を書いたことで
金型の種類を選定することは簡単ではないという事が改めてわかりました。
普段気にもしていませんでしたが、生産数や形状、用途、必要な強度などを考慮し
検討して決めるものなんですね。
当社では、豊富な実績と技術力でお客様のご要望に最適な金型をご提案いたします。
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